※ 2024.10.25更新。加筆修正しました。
8月のお盆の時期に、三笠市の幾春別地区にある旧奔別炭鉱のゲートが開放されました。
・NPO法人炭鉱の記憶推進事業団「奔別炭鉱ゲート開放」(リンク)
北海道の炭鉱は、空知地方を中心にかなりの数がありました。現在は閉山していることもあり(注)、旧炭鉱すら見る機会は殆どありません。炭鉱のゲート開放、興味があったので行ってみることにしました。
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(注) 北海道内では、以下の7つの炭鉱で、今でも採炭しているとのこと。
砂子炭鉱(三笠市)、三美炭鉱(美唄市)、北菱美唄炭鉱(美唄市)、空知新炭鉱(歌志内市)、新旭炭鉱(芦別市)、吉住炭鉱(留萌管内小平町)、釧路炭鉱(釧路市)
※ 釧路炭鉱のみ坑内掘り。他は、すべて露天掘り。
出典:石炭は悪?危うい再エネ頼み、北海道新聞、2024-10-23、朝刊、p.24
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こちらがゲート前。ここまでは、以前に来たことがあります。
こちらが、説明板です。
ガイドツアーも実施されます。もちろん参加。時間があるので、掲示物を見て、奔別炭鉱について勉強しておきます。
ガイドツアーの開始時間近くになりました。
北海道新聞に載ったこともあり、主催者の想定を上回る70名くらいの参加がありました。
最初に立坑櫓(やぐら)を見学します。かつて(創業当時)、東洋一の規模と設備を誇った巨大施設です。
私は集団の真ん中辺りと、ガイドさんから少々離れた位置にいたこともあり、ここの説明を十分に聞き取れなかったのが残念。参考文献から、追記します。
やぐらの高さは、約51m。捲上深度は約650m、掘削深度は約735m、立坑最深部は約1.100mで、現存する立坑としては国内最大規模とのこと。立坑(内径は約6m)の鉄枠の中にあるのが、炭鉱員などを地下深くに運んだケージ(エレベーター)。石炭用と人・資材用がそれぞれ2基あり、人・資材用は16人乗りのかごが縦に4段重なった「4段ケージ」といわれていました。
ケージの最高昇降速度は43km! 真っ暗な地底へこのスピードで降りていく時は、屈強な炭鉱マンでも度胸が必要だったそうです。
建屋正面にまわります。中には入れません。
こちらの画像は、ガイドツアー後に撮りました。
話は前後しますが、ここで事務員として働いていた方が、ツアー後に訪れました。御年は94歳。貴重なお話を、私を含む数人でお聞きすることができました。
・この建屋の3階が事務所だったこと。
・「やまさつ」という炭鉱でのみ使用可能な通貨を発行して、それで物品を購入していたこと。
そして、
・閉山となった時には、手足をもがれるような気持ちであったこと。等々。
ツアーに話を戻します。ここからは、ツアー参加者しか入ることができません。こちらの建屋は、少量の石炭を保管する施設。
炭鉱住宅などに分配する石炭を、一時的に保管していたとのこと。(この辺りから、そろりそろりとガイドさん近くの先頭集団に移動。説明が聞きやすくなりました)
こちらは、ホッパー。炭鉱で採掘した石炭を、出荷・積込まで貯めておくための施設です。
建屋の長さは130m、幅25m、高さは30m。左(奥)側が古く、それを稼働させたまま、右側を造ったとのこと。
建屋内には線路が3本引き込まれ、石炭車が各線に10両入り、石炭を積み込んでいたとのこと。こちらも、中には入れません。
反対にまわります。
真ん中の開いている扉から中を覗くと…。
先ほどまでいた向こう側が見えますね。ここに線路があり、奥まで石炭車が入っていったのです。
かつての日本を支えた炭鉱。その遺構を間近で見ることができたのは、貴重な経験となりました。
最後に、奔別炭鉱の歴史を年表にまとめたものを記しておきます。
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