2024年8月12日月曜日

【夕張の高松ズリ山を登り、選炭事業所を見学】

8月11日は「山の日」。この日、「ぷらぷら炭鉱歩きスペシャルin夕張高松ズリ山」が開催されました。

内容は、北炭(北海道炭礦汽船)がかつて運営していた夕張炭鉱のズリ山を登り、2015年から操業を開始した選炭事業所を見学するというものです。

ここで少々説明を。

・ズリ山:石炭を採掘し選炭される際に出た岩石や粗悪な石炭を積み上げた人工の山。

・選炭:掘り出された石炭から、不純物の含まない商品価値のある石炭を選び出すこと。

夕張は、かつて石炭で栄えたまち。高松ズリ山では選炭作業が行われ、現在でも石炭が出荷されているのです。

・イベントの詳細はコチラです。

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※ 撮影と画像のプログ掲載は許諾済みです。また、撮影場所はすべて、普段は立入禁止区域となっています

出発時間は8時半。受付場所は夕張市石炭博物館の駐車場です。公共交通機関(バス)の時間の関係もあり、参加者の殆どは(全員?)、車とバイクで来られているようでした。

参加された方は50名くらい。2班に分かれて出発します。

こちらは「天竜橋」。ポイントとなるところでは、丁寧な説明があります。

私が所属した班は、夕張市石炭博物館の石川館長にガイドしていただきました。

こちらがズリ山です。

このようなところも登っていきました。(歩きながらの撮影なので、拡大すると手ブレが…)

「ようこそ 高松ズリ山へ」。

立入禁止区域なのに、訪問を歓迎する看板があるのは・・・。来客向けに設置しているとのことです。

高松ズリ山選炭(水選炭)事業所に到着です。


選炭用機械の製作が大変だったこと、時々不純物として時計やお金などが混じっていること、ズリ山から10トンを選炭して石炭として出荷できるのは1トンであること等、事業所職員から大変興味深い話を聞くことができました。

石炭は、苫小牧まで陸送され、そこから釧路まで海上輸送。そして釧路火力発電所で燃料として使われるとのこと。

こちらにある池は、選炭時に使用した水を貯めておく施設です。沈殿させた後に乾燥させ、砂にします。

今日は天気が良く、画像中央(建屋タンクの上)に標高1.293mの札幌岳がうっすらと見えていました。

ここからの距離は70km弱。ちなみに、こちらの標高は520mくらいとのことです。(スタート地点からの標高差は約150m)

機械室の中も見せていただけることになりました。この階段を上ります。

このような機械が設置されています。説明を聞かないと、全くわからないですね。


今は使われていない送電線用の鉄塔。結構、錆びています。

いつまで使われていたか等、わからないそうです。

ズリ捨て線の土台とトンネルの遺構。

こちらは、現役のズリ捨て線です。

反対側から見ると。

トンネルの名称は、「旧北炭夕張炭鉱高松ズリ捨線スキップ隧道」。

少しだけ中に入りました。足元はかなり悪く、非常に歩きにくい。しかし、貴重な体験が出来ました。

見学を終え、下山します。向こうの山腹に黄色いところ(木の無いところ)があります。これは、かつて炭住(炭鉱住宅)があった場所なのです。

先ほど見たズリ捨て線の下に来ました。

トンネルを出たところまでコンベアで運ばれ、後は滑り落とされるのです。

「旧北炭夕張炭鉱高松ズリ捨線拱橋」。こちらは、別名「夕張のタウシュベツ」と呼ばれているとか。


草の生い茂らない春先は、良く見えるそうです。本家のタウシュベツとは異なり、中に鉄筋が入っています。

・タウシュベツについては → Wikipedia「タウシュベツ川橋梁」(リンク)

下りて来ました。こちらの橋は「高松跨線橋」です。


長さ22m、幅2.4mのアーチ橋です。

鉄道車両の大型化により、橋がかさ上げされたことが良くわかります。

1940(昭和15)年頃、橋げたを切断し、ジャッキで持ち上げたため、階段が造られました。案内板には書かれていませんが、専用鉄道は1951(昭和26)年に廃止されました。

この橋、絶対に渡ってはいけません。崩れる可能性があるからです。注意書きが無い! と思われるかもしれません。記事の冒頭で触れましたが、ここを含めた一帯は、普段は立入禁止区域なのです。

最後に「悠久の丘」という夕張市所有の施設(現在は使われていない)の外観を見学した後、石炭博物館駐車場で “とりあえず” 解散。20分程度休憩し、博物館ツアーに参加したのでした。

今回のイベントは、“大人の社会見学 with ちょっとした登山” と言えるでしょうか。普段は立ち入ることのできない場所を歩いて(登って)の見学。参加して大正解でした。

※ ツアー中の説明とともに、以下の書籍を参考にして記事を作成しました。
・北海道新聞空知「炭鉱」取材班『そらち炭鉱遺産散歩』、共同文化社、2003年10月


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